【秋から始める温活のやり方】「体温が1度下がると免疫力が30%落ちる」に、根拠はありませんでした
朝晩、急に冷え込むようになった。
夏の疲れが抜けないまま、なんとなく体が重い。
——10月に入ると、こんな感覚が出てきませんか。
「そろそろ温活を始めたほうがいいのかな」
「でも、何から手をつければいいのか分からない」
そうお感じの方に、まずお伝えしなければならないことがあります。温活について調べると、必ず目にする数字があります。「体温が1度下がると免疫力が30%落ちる」というものです。
この数字には、医学的な根拠が一切ありません。
実演販売の現場で33年、健康グッズをご紹介してきた弊社の松下も、この言葉を疑いなく口にする方に何度も出会ってきました。だからこそ、正しい温活の話をする前に、この点をはっきりさせておきたいと思います。嘘を土台にした健康法は、続きません。
まず、いちばん有名な数字を疑うところから
「体温が1度下がると免疫力が30%下がる」
温活を扱う広告や記事で、繰り返し使われてきた文言です。しかし、複数の専門家および企業による調査によって、この言説には実証された論文が一切存在しないことが明らかになっています。
発端は、一部の医師が一般向けの健康書に個人的な見解や経験則として書いたものでした。それが十分な事実確認を経ないまま、製薬会社や医療系企業の健康情報サイトに転載され、いつのまにか定説のように扱われるようになったのです。
指摘を受けた沢井製薬などの企業が国内外の論文データベースを網羅的に調べた結果、「体温が1度低下することで免疫力が定量的に30%減少する」という、人体を対象とした医学論文は皆無でした。
さらに根本的な問題があります。日本免疫学会の専門家が指摘しているとおり、「免疫力」という言葉そのものが、学術的な指標を持たない極めて曖昧な概念だということです。免疫の仕組みは、多種類の白血球やサイトカインが複雑に絡み合ったネットワークであり、「体温によって一律に30%上下する」といった単純な数式で表せるものではありません。
弊社が商品をご案内する際、この数字を使わないのは、そういう理由からです。
では、温活とは何をすることなのか
根拠のない数字を取り除いたうえで、温活を正しく定義し直します。
医学的・生理学的な観点から厳密に言えば、温活とは「体温を調節する機能を正常に働かせ、体の中心の温度と手足の温度の適切な差を保つことで、自律神経と血管の働きを最適化する取り組み」です。
外から熱をどんどん加えることではありません。むしろ、加えすぎることの弊害のほうが大きい場面もあります。
人の体温は2つに分けられます。脳や内臓の機能を保つための「深部体温」は、約37℃付近に保たれています。もう1つが、外の環境に左右されやすい皮膚表面の「末梢体温」です。脳の視床下部にある体温調節の中枢は、深部体温を一定に保つため、筋肉での熱の産生と、皮膚の血管を縮めたり広げたりすることによる熱の放散を、絶えず調整しています。
ですから温活の本当の意義は、架空の免疫力の数字を上げることではありません。
手足の血流を改善して組織の酸素不足を解消すること。溜まった代謝産物を速やかに排出すること。そして、季節の変化で乱れた自律神経を整えること。この3つです。
日本人の平熱は、本当に下がっているのか
もう1つ、よく語られるのが「現代人は昔より体温が低い」という話です。これについては、数字を見ていただくのが早いと思います。
日本国内で平熱の根拠として最も広く引用されるのが、1957年に田坂定考博士(東京大学)らが実施した大規模調査です。健康な日本人約3,000人を対象に、水銀体温計を用いてわきの下で30分以上かけて厳密に測定した結果、平均体温は36.89℃、全体の約7割が36.55℃から37.23℃の範囲に収まっていました。
一方、テルモ株式会社が2008年に実施した調査では、成人の平熱の自己申告平均は36.14℃、小児でも36.39℃に留まっています。
この差については、現代の電子体温計による短時間の予測検温の誤差や、測定部位の不備が原因だとする見方もあります。ただし、測定誤差だけでは説明のつかない研究が、近年発表されました。
2020年に学術誌『eLife』で発表された、スタンフォード大学のジュリー・パーソネット教授らの研究です。過去200年間にわたる米国の体温データ約67万件を解析したこの報告では、南北戦争の退役軍人(1862〜1930年)、国民健康栄養調査(1971〜1975年)、そして現代の臨床データベース(2007〜2017年)を比較しました。
その結果、人間の平均体温が10年ごとに0.03℃ずつ、着実に低下していることが証明されたのです。
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対象 |
19世紀初頭生まれとの比較 |
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2000年代生まれの男性 |
平均0.59℃ 低下 |
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1890年代以降生まれの女性 |
平均0.32℃ 低下 |
パーソネット教授らは、この背景として2つの要因を挙げています。
1つ目は、医療と公衆衛生の向上により、結核や梅毒、歯周病といった慢性的な感染症が社会全体で激減し、免疫が反応することによる代謝の亢進、つまり微熱が続く状態が不要になったことです。
2つ目は、冷暖房の普及によって住環境の温度が一定になり、体が自力で体温を保つためにエネルギーを使う必要性が低下したことです。
ここで気をつけたいのは、この0.6℃を「だから体が弱っている」と読まないことです。研究者が挙げている要因の1つ目は、慢性的な感染症が社会から減ったこと。つまり平熱が下がった分には、社会が健康になった結果が含まれています。
問題にすべきは、平熱という数字そのものではありません。冷暖房に囲まれて暑さ寒さに反応する機会が減り、体温を調節する働きのほうが鈍っていることです。温活が向き合う相手は、こちらです。
なぜ「秋」なのか。10月と11月の間にある崖
温活を始めるタイミングとして、気温が下がりきる冬ではなく、秋が最適とされる理由をお話しします。
理由は2つあります。
1つ目は、夏に溜め込んだ「冷えの負債」です。
現代の夏は、空調で25℃前後に管理された室内と、35℃を超える屋外を往復する生活です。これは、人類が進化の過程で経験したことのない極端な環境です。さらに私たちは、冷蔵庫で約4℃に冷やされた飲み物や食べ物を、年間を通じて日常的に摂っています。
熱の観点から見れば、約37℃の内臓に対して4℃の液体が直接流れ込むことは、強い冷却です。胃腸を中心とする深部の臓器が直接冷やされ、内臓への血流が落ちます。冷房環境の中で自分の熱を生み出す機会を失った体温調節の中枢は、次第に環境の変化への感度を鈍らせていきます。
この負債を抱えたまま秋を迎えると、急な気温の低下に血管が素早く対応できず、深刻な冷えや内臓機能の低下として一気に表面化します。
2つ目は、寒暖差による自律神経の疲弊です。
秋は1日の最高気温と最低気温の差が大きく、台風や低気圧の通過による気圧の変動も激しい時期です。体は環境温度の変化に合わせて、血管を縮める交感神経と、広げる副交感神経の切り替えを絶えず行っています。この切り替えが1日に何度も要求されると、自律神経に過剰な負荷がかかり、バランスが崩れます。
そしてこの変化は、調査データにもはっきり現れています。
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時期 |
体の冷えを感じる人の割合 |
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10月 |
23% |
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11月 |
47% |
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12月〜2月 |
66%以上で高止まり |
10月の23%から、11月の47%へ。1か月で倍増しています。この急な立ち上がりが、自律神経が環境の変化についていけなくなる境目です。
本格的な冷えが定着する前、つまり10月のうちに手を打つ。これが「秋が始めどき」といわれる根拠です。
データで見る、冷え性の実態
冷えは、一部の若い女性だけの悩みではありません。
厚生労働省が実施した2022年(令和4年)の「国民生活基礎調査」によると、「手足が冷える」という自覚症状を持つ方は全国で約295万人にのぼります。内訳は男性が約88万8,000人(約30%)、女性が約206万4,000人(約70%)です。人口千人あたりの有訴者率は32.6で、全症状の中で19位に入っています。
女性に多い理由は、熱を生み出す最大の器官である骨格筋の量が男性より少ないこと、月経による定期的な鉄分の喪失が酸素を運ぶ力を落とすこと、そして女性ホルモンの変動が自律神経を介して血管の収縮を招きやすいことにあります。
一方、男性も60代以降は加齢とともに冷えを訴える割合が直線的に上昇していきます。
自覚がない人ほど危ない。「隠れ冷え性」という落とし穴
ここで、非常に重要なデータをお伝えします。
養命酒製造株式会社などが実施した調査では、自分を「冷え性だと思う」と自覚している方の割合は全体で42.3%(男性27.0%、女性57.6%)でした。20代から40代の女性では60%を超えています。
ところが50代以降になると、この自覚率は50%程度まで明確に下がっていくのです。
これを「加齢によって冷え性が治った」と解釈するのは、致命的な誤りです。
「冷えの自覚がない」と回答した方に対して、客観的な症状チェックリストを当てはめた結果、驚くべきことが判明しました。
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対象 |
隠れ冷え性またはその予備群に該当する割合 |
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60代女性(自覚なしの層) |
57.9% |
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70代女性(自覚なしの層) |
65.7% |
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男性(自覚なしの層) |
約48.5% |
自覚がないのに、実際には血行不良が進んでいる。この現象が示しているのは、加齢によって温度を感じ取る神経の働きが鈍り、脳が「冷たい」という危険信号を受け取れなくなっているという事実です。
「寒く感じないから温活は不要」という判断が、最も危ういのです。ご家族に高齢の方がいらっしゃる場合、本人の自覚だけを頼りにしないでください。
温めるべき3か所と、就寝時に塞いではいけない場所
ここからは、具体的にどこを温めるかの話に入ります。
古くから「3つの首を温めよ」と言われてきました。首、手首、足首の3か所です。これは経験則ですが、解剖学的に見ても極めて理にかなっています。
この3か所には共通点があります。皮下脂肪の層が非常に薄く、しかも血流量の豊富な太い動脈が皮膚のすぐ下を走っているのです。首には頸動脈、手首には橈骨動脈、足首には後脛骨動脈が通っています。
体の中で作られた熱は、血液に乗って全身へ運ばれます。深いところを流れる血液は温かいのですが、手足の末梢へ向かう細い血管を通る過程で、外気に熱を奪われていきます。ところがこの3か所を外から覆って温めれば、表層を流れる大量の血液を直接温めることができます。温まった血液が全身を巡るため、局所を温めているだけなのに、体全体の体感温度が効率よく上がるのです。
東京大学の研究では、局所への温熱刺激によって末梢の血流が平均して約1.5倍から2倍に増加することが報告されています。
さらに、足首を温めることには別の効果もあります。九州大学の研究では、足湯などの足部への温熱刺激が心拍の変動を安定させ、副交感神経の活動を優位に導くことが実証されています。副交感神経が優位になると、体は緊張状態から回復モードへ移り、全身の血管の緩みが保たれます。
そして、ここからが最も重要です。
就寝時、足の裏だけは塞がないでください。
手のひら、足の裏、頬には、動脈と静脈を毛細血管を介さずに直接つなぐ、動静脈吻合という特殊な太い血管があります。これは体温調節における高性能な放熱装置です。
深部体温を下げる必要がある場面、特に就寝前には、この血管が一気に開いて大量の血液を皮膚表面へ送り込み、熱を外へ強制的に排出します。この放熱があるからこそ、人は深い眠りに入れるのです。
ですから、冷え対策として手首や足首を保温するのは正解ですが、就寝時に足の裏を厚手の靴下で塞いでしまうと、この仕組みが破綻します。眠りが浅くなる原因になります。
温めるべき「動脈」と、塞いではいけない「放熱装置」。この2つを区別することが、正しい習慣設計の絶対条件です。
秋から始める、温活の道具立て
弊社では、温活を「体の外から熱を足す」ことではなく、「自分の熱を逃がさない環境を作る」ことと捉えてご案内しています。
そのうえで、部位ごとに役割の異なる商品をご用意しています。
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温めたい場所 |
おすすめする商品 |
役割 |
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上半身全体・体幹 |
遠赤外線エコ肌着「シュピラール」 |
バンブーレーヨンと綿の混紡。脇に縫い目のない丸編みで、肌への刺激を抑えながら日常的に保温する |
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腰・お腹まわり |
NIBC LED温熱ベルト |
赤色LED(630〜660nm)と近赤外線(800〜940nm)のデュアルチップを360個搭載。コードレスで約300g |
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首・肩・気になる部位 |
HORURUN極 |
ラジウム鉱石末、金、リンゴ果実培養細胞エキスを配合したクリーム。入浴後に塗る習慣に |
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足元 |
テラインソール |
テラ鉱石パウダーとマイナスイオンパウダーを配合。足裏のアーチを支える適度な反発力を持たせた中敷き |
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姿勢と体幹の支え |
加圧補正下着「ベストシェイパー」 |
段階的な圧力設計と背中の9本のボーンで、姿勢を保ちやすくする |
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頭皮・顔・膝・関節・腰 |
LED Vリフトブラシ+ |
波長650nmの赤色LEDと三段階の振動。アタッチメントを付け替えて全身の気になる部分に。本体約145g、コードレス |
なお、HORURUN極は化粧品です。肌をうるおいで満たして乾燥から守るためのもので、体を温める効果をうたうものではありません。
このうちLED Vリフトブラシ+は、部位ごとに道具を持ち替えなくてよいという点で、温活の道具立てを1本にまとめてくれます。頭皮にはスカルプアタッチメント、顔や膝・関節・腰にはフェイスアタッチメント。動作開始から10分前後で自動的に電源が切れますので、当てすぎる心配もありません。1つの部位につき1回10分前後、1日の合計で30分前後が目安で、同じ部位に再び使うときは1時間以上あけてください。一般家庭用の光美容機器であり、医療機器ではありません。
弊社の商品に共通しているのは、電気を使わないか、使っても最小限に留めている点です。
理由があります。外から強い熱を加え続ける方法は、一見すると手っ取り早いのですが、体が自分で熱を作る機会を奪います。そして後ほど「やりすぎのリスク」の項でお話しするとおり、思わぬリスクも伴います。
自分の体温を逃がさない。血の巡りを妨げない。この2つを守る道具を、暮らしの中に自然に組み込んでいただく。それが弊社の考える温活です。
入浴は「40℃・10分」が最適解です
温活の中で、最も手軽で効果の高い手段が入浴です。
現在の入浴医学の知見において、最も推奨される条件は「40℃のお湯に10分間、肩まで浸かる」ことです。
かつての日本では41℃から42℃といった熱めの湯が好まれる傾向にありました。しかし約7万人規模の疫学データの解析などから導き出された結論として、40℃という温度帯が最も副交感神経を優位にし、血管を広げて血流を改善する効果を、安全に最大化することが判明しています。
そして興味深いのは、40℃の湯船に10分浸かるという行為が、心拍数の上昇という点から見て「200メートル走に相当する適度な心肺への刺激」をもたらすということです。本格的な運動の代替にはなりませんが、運動不足になりがちな方にとって、入浴は日常的に血管を働かせる機会になります。
なお、就寝の90分から120分前に入っていただくと、上がった深部体温がちょうど下がりきるタイミングで布団に入ることになり、眠りにも良い影響があります。
食事:熱を生み出す最大のスイッチはタンパク質です
体の中で熱を作る、最も日常的な手段が食事です。
食事を摂ると、消化・吸収・代謝の過程で安静時以上のエネルギーが消費され、体温が上がります。これを食事誘発性熱産生といいます。
栄養素別に見ると、糖質や脂質に比べて、タンパク質を摂ったときの熱の産生量が圧倒的に大きいことが分かっています。朝食に卵や魚、大豆製品といったタンパク質をしっかり摂ることは、睡眠中に下がった体温を引き上げ、1日の代謝を立ち上げるうえで理にかなっています。
朝はパンとコーヒーだけ、という方は多いと思います。ここに1品タンパク質を足すだけで、午前中の体感が変わることがあります。
特定の食材としては、生姜に明確な裏付けがあります。
生姜に含まれる辛味成分「ジンゲロール」は、加熱や乾燥の処理によって「ショウガオール」へと変化します。これらの成分は消化管の中にある受容体を刺激し、血管を広げる働きを持つ物質の放出を促します。実験データでも、これらの成分の摂取が手の指先といった末梢の組織まで血流を増加させ、その保温の効果が一時的ではなく持続することが示されています。
生の生姜をそのまま使うより、加熱するか乾燥させたものを使う。ここが実践のポイントです。
運動:外から温める前に、エンジンを大きくする
どれだけ外から温めても、体の中で熱を生み出すエンジンが小さくなっていれば、根本的な解決にはなりません。
基礎代謝の約4割を担っているのが骨格筋です。筋肉は動くときに大量の熱を生むだけでなく、安静にしている間もアイドリング状態として熱を出し続けている、人体最大の自家発電機です。
弱い刺激が体の反応を引き出すという考え方そのものは、ホルミシス効果とは何かで扱っています。
交通機関の発達やデスクワークの常態化により、現代人の日常的な活動量は大きく減っています。
温活というと、入浴や着るものといった受け身の手段に目が行きがちです。しかし、熱を作っているのは筋肉です。下半身の筋肉を中心とした運動を習慣にすることが、遠回りに見えていちばん土台になります。
とはいえ、ジムに通う必要はありません。太ももやお尻、ふくらはぎといった大きな筋肉を、日常の中で動かす機会を増やすだけで十分です。
椅子の背もたれに手をついて、お尻を後ろに引くようにゆっくり膝を曲げる。台所で湯を沸かしている間に、かかとの上げ下げを繰り返す。テレビを見ながら、座ったまま足首を回す。どれも、道具も場所も要りません。
大切なのは強度ではなく、毎日触れる回数です。筋肉は使わなければ静かに減っていきます。逆に言えば、少しでも動かし続けていれば、熱を作る力は保てるということです。外から温める道具は、この土台があってこそ効いてきます。
実は本丸は、お腹と腰です
3つの首と並んで、いえ、それ以上に重要な場所があります。お腹と腰、特に仙骨のあたりです。
この領域には胃腸、肝臓、腎臓、そして女性の場合は子宮や卵巣といった重要な臓器が集中しており、全身の血液量のうち極めて大きな割合を占めています。
人の体には、生命に関わるような寒さを察知すると、手足の血管を強く縮めて温かい血液を体幹部に集め、深部体温を守ろうとする仕組みが備わっています。
ここが核心です。
「手足が冷たい」という症状は、手足そのものの問題というより、「お腹の温度が足りていないから、体が防衛のために手足への血流をあえて遮断している」という判断の結果なのです。
ですから、腹巻きや使い捨てカイロでお腹や仙骨のあたりを温めることは、自律神経に対して「体の中心は十分に温かい、危機はない」という安心信号を送ることに等しくなります。すると交感神経の緊張が解け、手足への血流の制限が解除されます。結果として、手足の先まで温かくなるのです。
使い捨てカイロを使うときは、冷たい手足に直接貼るのではなく、お腹や仙骨のあたりに貼ってください。これが、血の巡りから見て最も理にかなった使い方です。
やりすぎのリスク:低温やけどと、電気毛布と、靴下
温活は足し算ではありません。加えすぎることには、はっきりしたリスクがあります。
まず、低温やけどです。
湯たんぽ、使い捨てカイロ、電気毛布、膝の上のノートパソコン。これらを長時間密着させることで起きる低温やけどは、医学的には通常の高温のやけどよりも深くまで進行しやすい、極めて危険な外傷です。
低温やけどは、「温かくて心地よい」と感じてしまう44℃から46℃あたりの、比較的低い温度でも起こります。熱い物に触れたときは反射的に体を離しますが、低温では痛みがすぐには出ないため、無意識のうちに皮膚の深いところまで損傷が進んでしまうのです。
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接触温度 |
皮膚の深部組織の損傷が始まる目安の時間 |
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44℃ |
約3〜6時間 |
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45℃ |
約1〜3時間 |
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46℃ |
約1時間30分 |
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47℃ |
約45分 |
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50℃ |
約2〜3分 |
特に、加齢で皮膚が薄くなった高齢の方、末梢の感覚が鈍くなっている方、乳幼児は、リスクが飛躍的に高くなります。皮膚がうっすら赤くなったりヒリヒリしたりした時点で、すでに見た目以上に深い損傷を負っていることがあります。回復までに数か月かかったり、皮膚移植が必要になったりするケースも珍しくありません。
もし起きてしまった場合は、氷や冷却スプレーで直接冷やさないでください。凍傷のリスクがあります。15℃から20℃程度の水道水の流水で10分から30分冷やし、水ぶくれは破らずに、直ちに皮膚科か形成外科を受診してください。
次に、電気毛布です。
人は眠りに入るとき、手足の血管を広げて熱を外へ逃がし、深部体温を約1.5℃下げることで深い眠りに入ります。ところが電気毛布を一晩中つけたまま外から熱を与え続けると、この体温低下のプロセスが完全に阻害されます。
結果として、脳と体が休息モードに入れず、眠りが浅くなり、途中で目が覚めやすくなります。さらに過剰な発汗による脱水が起きると、血液の粘度が上がり、早朝の心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める要因にもなります。
正しい使い方は決まっています。就寝の30分前までにスイッチを入れて布団の中を温めておき、布団に入る直前に必ずスイッチを切る。あるいは、入眠直後に切れるようタイマーを設定する。これだけで、入眠時の冷たさを防ぎながら、睡眠中の自然な体温低下を妨げずに済みます。
最後に、靴下の重ね履きです。素材から見直したい方は絹の靴下で冷えとりをする方法もあわせてご覧ください。
足の裏は特に汗腺が密集しており、冬の就寝中でもコップ一杯程度の汗をかきます。放湿性に劣る素材の靴下を何枚も重ねると、汗が逃げ場を失って内部に留まります。この湿った布が肌に密着し続けると、蒸発するときに熱を奪い、かえって足先の体温を急激に持ち去ってしまいます。
また、弾性のある靴下を何枚も重ねることで、足首やふくらはぎのゴムによる圧迫が二重三重にかかり、血液の供給そのものを物理的に妨げます。
就寝時の冷え対策としては、放熱の役割を持つ足先は出しておき、動脈が通る足首だけを保温するレッグウォーマーが、医学的にも睡眠の面からも最も理にかなった選択です。
現場で伺ってきた、秋の温活のお声
実演販売の会場では、10月に入ると「そろそろ何か始めたい」というご相談が増えます。
あるお客様は、「毎晩電気毛布をつけっぱなしにしているのに、朝起きると体がだるい」とおっしゃっていました。詳しく伺うと、一晩中入れたままにしていらっしゃいました。就寝30分前に入れて布団に入る直前に切るという使い方に変えていただいたところ、「朝の目覚めが違う」とご報告をいただいたことがあります。
また別のお客様は、80代のお母様について「本人が寒くないと言うから、特に何もしていない」とおっしゃっていました。しかし、自覚のない層の中で60代女性の57.9%、70代女性の65.7%が隠れ冷え性またはその予備群に該当するというデータがあります。年齢とともに、温度を感じ取る神経そのものが鈍くなるためです。お腹まわりの保温から始めていただくようお伝えしました。
温活で最も難しいのは、続けることでも、道具を選ぶことでもありません。「必要だと気づくこと」なのだと、現場で何度も感じています。
よくある質問
- 「体温が1度下がると免疫力が30%下がる」は本当ですか?
- 医学的な根拠は一切ありません。国内外の論文データベースを網羅的に調べた結果、この主張を裏付ける人体対象の研究は皆無であることが確認されています。そもそも「免疫力」という言葉自体、学術的な指標を持たない曖昧な概念です。
- 温活は、いつから始めるのがいいですか?
- 10月です。体の冷えを感じる方の割合は10月に23%、11月に47%と1か月で倍増します。この急な立ち上がりの前、つまり10月のうちに手を打つのが理にかなっています。
- どこを温めるのが最も効率的ですか?
- 手軽さでは首、手首、足首の3か所です。皮下脂肪が薄く、太い動脈が皮膚のすぐ下を通っているため、流れる血液を直接温められます。ただし体全体への効きという点では、内臓が集まるお腹と腰のほうが上です。日中は3つの首、腰を据えて温めたいときはお腹と腰、と使い分けてください。ただし、就寝時に足の裏を厚手の靴下で塞ぐのは避けてください。足の裏は熱を逃がす役割を持つ場所で、塞ぐと眠りが浅くなります。
- シュピラールとNIBC LED温熱ベルトは、どう使い分けますか?
- シュピラールは日常的に着ていただく肌着で、体幹全体の保温を担います。遠赤外線と近赤外線が体に対して何をしているのかは、近赤外線と遠赤外線の違いで整理しています。NIBC LED温熱ベルトは、腰やお腹まわりを集中的に温めたいときにお使いいただくものです。コードレスで約300gですので、家事をしながらでも使えます。両方を組み合わせていただくこともできます。
- HORURUN極は、いつ塗るのが効果的ですか?
- 弊社では夜(入浴後)、朝、日中の3つのタイミングをおすすめしていますが、最も大切なのは入浴後です。肌が水分を含んでいるうちに塗ることで、うるおいを保ちやすくなります。塗る方向は、重力に逆らう向きと、体の巡りの通り道を意識してください。
- 電気毛布は使わないほうがいいですか?
- 使い方の問題です。就寝30分前にスイッチを入れて布団を温め、入る直前に切ってください。一晩中つけたままだと、眠るために必要な深部体温の低下が妨げられ、睡眠の質が落ちます。
- 生姜は、生のままでもいいですか?
- 加熱するか乾燥させたもののほうが適しています。生の状態の辛味成分は、加熱や乾燥によって別の成分へと変化し、血管を広げる働きを持つ物質の放出を促すことが分かっています。
- 高齢の親が「寒くない」と言うのですが、対策は必要ですか?
- 必要です。加齢とともに温度を感じ取る神経の働きが鈍り、実際には血行不良が進んでいても脳が危険信号を受け取れなくなります。自覚がない層のうち、60代女性の57.9%、70代女性の65.7%が隠れ冷え性またはその予備群に該当するというデータがあります。本人の自覚を判断材料にしないでください。
まとめ:熱を足すのではなく、逃がさない環境を作る
温活とは、外から熱を無尽蔵に加えることではありません。体に本来備わっている体温調節の仕組みを、正常に働かせるための環境作りです。
そのために、まず捨てていただきたいのが「体温が1度下がると免疫力が30%落ちる」という、根拠のない数字です。嘘を土台にした健康法は続きませんし、本当に必要なことを見えなくします。
秋から始めるなら、やることは5つです。
1つ目は、40℃のお湯に10分。就寝の90分から120分前に入ること。2つ目は、朝食にタンパク質を1品足すこと。3つ目は、首・手首・足首の3か所を保温し、足の裏は塞がないこと。4つ目は、お腹と仙骨のあたりを温めて、体に「危機はない」と伝えること。5つ目は、下半身の筋肉を動かして、熱を作るエンジンそのものを保つことです。
弊社では、この習慣を暮らしに組み込むための道具として、遠赤外線エコ肌着「シュピラール」、コードレスの「NIBC LED温熱ベルト」、入浴後に塗る「HORURUN極」、足元の「テラインソール」、部位ごとに付け替えて使う「LED Vリフトブラシ+」、姿勢を支える加圧補正下着「ベストシェイパー」をご用意しています。いずれも、外から強い熱を加え続けるのではなく、自分の熱を逃がさないという考え方に沿った商品です。
何から始めればいいか分からないという方は、ぜひ一度ご相談ください。
33年間、実演販売の現場でお客様の冷えと向き合ってきた弊社が、根拠のない数字に頼らず、今の暮らしに無理なく足せるものからご提案いたします。

