【リンゴ幹細胞の効果を化粧品のプロが正直に解説】その化粧品に、生きた幹細胞は入っていません
「リンゴ幹細胞配合」と書かれた化粧品を、店頭やネットで見かけたことはありませんか。
幹細胞という言葉から、なんとなく再生医療のような、すごいものを想像する。
——でも、実際に何が入っていて、何が起きているのかは、よく分からないまま。
「本当に効果があるの?」
「値段が高いけれど、それに見合うものなの?」
そう思っていらっしゃる方に、まずはっきりお伝えしなければならないことがあります。
リンゴ幹細胞コスメの中に、生きた幹細胞は1つも入っていません。
実演販売の現場で33年、化粧品を含む数多くの商材をご紹介してきた弊社の松下も、「幹細胞」という言葉が独り歩きしている現状を、ずっと気にしてきました。今回は、この成分について分かっていることと、まだ分かっていないことを、どちらも隠さずお伝えします。
結論:入っているのは「細胞が作り出した成分」です
先に結論をお伝えします。
リンゴ幹細胞コスメに配合されているのは、幹細胞そのものではありません。植物の幹細胞を培養したあと、超高圧で完全に粉砕して取り出した「細胞が作り出していた成分の抽出エキス」です。
ですから、化粧品を肌に塗ったときに、植物の細胞が肌の上で増えたり、人の皮膚細胞に変わったりすることは、物理的にも生化学的にも絶対にありません。
では意味がないのかというと、そうではありません。その抽出エキスには、豊富なアミノ酸やペプチド、抗酸化物質が含まれており、肌の環境を整えるうえで確かな役割があります。
大切なのは、実際に何が起きているのかを正確に理解することです。過大な期待も、過小な評価も、どちらも判断を誤らせます。
スイスに20本しか残っていない、1つのリンゴの話
この成分の物語は、1本のリンゴから始まります。
原料となるのは、スイス原産の「ウトビラー・スパトラウバー」という希少なリンゴです。18世紀半ば、1750年代にスイス北部のトゥールガウ州で栽培された記録が残っています。
この品種には、極めて珍しい特徴があります。
収穫した後も表皮がしわにならず、最長で4か月から9か月もの間、新鮮な状態を保つのです。一般的なリンゴが収穫から数週間で水分を失って萎み始めるのに対し、この品種は細胞の寿命が非常に長く、果皮も果肉も長期間そのままの状態を維持します。
農家の観察によれば、果皮に傷がついても、植物自身の力で驚くほど速やかに組織を修復する能力も持っているといいます。
この生命力の背景には、植物の老化を遅らせる特有の因子や、独特の代謝産物、豊富な植物由来成分が関わっていることが科学的に示唆されています。
ところが、この品種は歴史から消えかけました。
強い酸味と渋みがあり、食用としてはあまり好まれなかったのです。近代的な品種改良と商業栽培の流れの中で、栽培する農家は次々と姿を消しました。
現在、スイス国内に現存する成木は、わずか20本程度と伝えられています。
いまはスイスの希少な動植物を保護し、遺伝子の多様性を守ることを目的とする「ProSpecieRara」という財団の保護リストに登録され、トゥールガウ州の指定農園などで厳重に保存されています。
たった20本の絶滅危惧種から、世界中で消費される化粧品原料を作る。従来なら、これは不可能な話でした。
培養という技術が、それを可能にしました
この壁を突破したのが、スイスの原料メーカーであるMibelle Biochemistry社が開発した「PhytoCellTec(フィトセルテック)」という技術です。この技術は、国連の持続可能な開発会議(Rio+20)において、環境面での画期的な成果として高く評価されています。
作り方は、こうです。
まず、ウトビラー・スパトラウバーの果実または葉の組織に、無菌の状態で物理的に傷をつけます。植物は損傷を受けると、傷を修復するために、いったん分化した細胞を元の状態へ初期化します。こうしてできる未分化な細胞の塊が「カルス」と呼ばれるもので、これが植物幹細胞の集合体です。
このカルスを専用の液体培地に移し、大型の培養装置の中で大規模に増やしていきます。培地の糖分が完全に使われるまで、通常3〜4週間かけて培養します。
そして、ここからが重要です。
培養した細胞の懸濁液に、1,200バールという超高圧をかけて均質化処理を行います。この圧力によって、植物の強固な細胞壁は完全に破壊されます。
続いて、破壊された細胞から溶け出した水になじむ成分と油になじむ成分を同時に安定させるため、レシチンを使って極小のカプセルの中に包み込みます。
こうしてできあがったものが、成分表示上「リンゴ果実培養細胞エキス」と記載される原料です。
だから、生きた細胞は残っていません
ここまでお読みいただければ、冒頭でお伝えしたことの意味が分かると思います。
1,200バールという超高圧で細胞壁も細胞膜も完全に粉砕されている以上、最終製品の中に生きた細胞は一切存在しません。
「あなたの眠っている幹細胞を目覚めさせる」といった表現を見かけることがありますが、これは仕組みとして起こり得ないことを言っています。
私たちが化粧品から受け取っているのは、幹細胞が生きるために作り出していた豊富なアミノ酸、ペプチド、抗酸化物質などが溶け込んだ「混合抽出エキス」の恩恵です。
これは、価値がないという意味ではありません。植物が過酷な環境を生き抜くために作り出した成分を、私たちが肌に使わせてもらっているということです。
ただ、そこで起きていることを正確に言うなら、「細胞を再生させる」ではなく「肌の環境を整える」です。この違いは、決して小さくありません。
【徹底比較】ヒト由来・植物由来・動物由来は、まったく別のものです
「幹細胞コスメ」という言葉でひとくくりにされていますが、由来によって仕組みも安全性もコストも根本的に違います。
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比較項目 |
ヒト幹細胞培養液 |
植物幹細胞エキス(リンゴ等) |
動物幹細胞培養液(羊・馬等) |
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主な由来 |
ヒトの皮下脂肪、臍帯血、歯髄、骨髄などの幹細胞 |
リンゴ、アルペンローゼ、ブドウなどのカルス細胞 |
羊の胎盤、毛根、馬の脂肪などの幹細胞 |
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仕組み |
成長因子を含み、ヒトの細胞表面の受容体に鍵のように結合して直接信号を伝える |
成長因子による信号伝達の仕組みは持たない。抗酸化物質による肌環境の保護 |
ヒトに似た成長因子を持つとされるが、種を越えた適合性には不確実さが残る |
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安全性 |
再生医療レベルの厳格な品質管理が必要 |
アレルギーのリスクは相対的に低く、未知のウイルス感染リスクは皆無 |
未知の動物由来病原体のリスクや倫理面の懸念が残り、国内での正規流通は限定的 |
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価格帯 |
極めて高価 |
比較的安価から中価格帯。持続可能で大規模な安定生産が可能 |
中から高価格帯。品質のばらつきが生じやすい |
ここで、はっきりさせておきたいことがあります。
ヒト由来の幹細胞培養液は、成長因子という物質を含んでおり、これがヒトの細胞表面の受容体に「鍵と鍵穴」のように結合して、直接信号を伝えます。
植物幹細胞エキスには、この仕組みはありません。
この先で紹介する試験結果を読むときに、1つ覚えておいていただきたいことがあります。これらはすべて、シャーレの中で細胞に直接ふりかけた実験です。化粧品として肌に塗った場合、成分が届く範囲は原則として角質層までで、シャーレの中と同じことが肌の奥で起きるわけではありません。
「同じ幹細胞コスメなのだから、同じような働きをするはず」という理解は、正確ではありません。植物由来のものが果たしているのは、優れた抗酸化力によって肌の周囲の環境を守り、間接的に肌の活力を支えるという役割です。
その代わり、倫理的な問題やウイルス感染のリスクが皆無で、安定した大量生産が可能という、大きな利点があります。どちらが優れているという話ではなく、性質が違うということです。
研究で分かっていること
では、実際にどこまで確認されているのか。試験管の中での研究から見ていきます。
1つ目は、幹細胞の元気さを保つ働きです。幹細胞の活力は、1つの細胞から細胞の集団を作る能力によって評価されます。ヒトの表皮幹細胞を使った試験では、リンゴ果実培養細胞エキスを加えて培養すると、加えなかった場合と比べて、この集団を作る効率が明確に向上することが示されました。
2つ目は、紫外線ダメージからの保護です。ヒトの臍帯血幹細胞にエキスを加えて24時間置いた後、紫外線を照射する試験が行われました。48時間後に生きている細胞の数を測定したところ、0.01%および0.1%という極めて低い濃度でも、加えなかった場合と比べて細胞の減少が顕著に抑えられました。
3つ目は、遺伝子の働きの調整です。ヒトの真皮線維芽細胞を過酸化水素で処理して強制的に老化状態にしたモデル細胞に、2%の濃度でエキスを144時間作用させました。その後、150個の項目で遺伝子の働きを解析したところ、老化によって働きが落ちていた複数の重要な遺伝子が、130%から137%まで回復していました。細胞の増殖に関わるもの、細胞周期を調節するもの、そしてDNAの修復に関わるものです。
4つ目は、毛包に対する働きです。取り出したヒトの毛包に0.2%のエキスを加えて20日間培養した試験では、加えなかったものが14日目から萎み始めたのに対し、加えたほうは18日目まで成長期を保ち、毛包の活力が92%向上したことが確認されています。
数字だけを見れば、印象的な結果が並んでいます。
そして、分かっていないこと
ここからが、多くの記事が書かない部分です。
肌に対する実際の効果を調べた試験も行われています。開発元が実施した主要な臨床試験では、37歳から64歳のボランティア20名(女性)を対象に、2%のエキスを含むクリームを1日2回、28日間にわたって目尻のシワに塗ってもらいました。
シワの深さは、非接触型の三次元皮膚形状測定装置で測定されました。その結果、14日後にシワの深さが平均8%減少し、28日後には15%減少したと報告されています。被験者の100%で、目視レベルでの改善が認められたとも結論づけられています。
この結果が、世界中で「植物幹細胞コスメ」ブームを牽引しました。
しかし、学術的・臨床的な観点からは、3つの厳しい指摘があります。
1つ目は、試験の規模です。被験者20名というサンプルサイズは、統計的な意味を広い母集団に当てはめるには、あまりに小さいものです。
2つ目は、これが最も重要ですが、比較する対照群が存在しないことです。
この試験は、有効成分を含まない基剤だけを塗るグループと比べる「二重盲検プラセボ対照試験」として設計されていません。
化粧品のクリームそのものが持つ保湿の作用によって、乾燥による一時的な小ジワが膨らんで目立たなくなることは、化粧品科学における常識です。プラセボ群がないため、15%というシワの減少が、リンゴ幹細胞エキス特有の働きによるものなのか、それとも単なるクリームの保湿効果によるものなのかを、厳密に切り分けることができないのです。
3つ目は、この単一の試験への依存です。市場に出ている数多くのリンゴ幹細胞コスメが、2008年頃に実施されたこの1つの小規模な試験の結果を、いまだに根拠として引用し続けています。大規模な追試や、独立した第三者機関による査読を経た追加の臨床データは、乏しいのが現状です。
米国FDAなどの規制当局の基準に照らせば、このデータをもって特定の疾患や老化そのものを治療・逆転させる「治療的価値がある」と認められる水準には、達していません。
HORURUN極という選択と、弊社が引いている線
弊社では、リンゴ果実培養細胞エキスを配合したクリーム「HORURUN極(ホルルンきわみ)」をご用意しています。
HORURUN極は、3つの成分を軸に処方されています。ラジウム鉱石末、金、そしてスイス産の植物幹細胞から生まれたリンゴ果実培養細胞エキスです。
ラジウム鉱石末という名前に驚かれるかもしれませんので、先にお伝えします。これは天然の鉱石を微粉末にした、化粧品に配合できる粉体です。医療機器でも医薬品でもなく、放射線を治療目的で当てるようなものとはまったく別のものです。配合の目的は、肌の上で使い心地を整えることにあります。化粧品の専門家であり、医療機器の販売管理者資格も持つ小牧保之の研究に基づいた処方です。
このうち金については、化粧品成分としての性質が分かっています。純金をナノレベルの微粒子まで粉砕し、溶液中に均一に分散させたものです。それ自体が抗酸化の働きを持ち、メラニンの生成に関わる酵素の働きを抑える作用も報告されています。リンゴ果実培養細胞エキスの抗酸化の働きと組み合わせる成分として、相性の良い組み合わせです。
化粧品に使われる金コロイドは純度の高い24Kで、コバルトやニッケルといった不純物が排除されています。金はイオン化しにくく安定しているため、金属アレルギーを起こすリスクは非常に少ないとされています。ただし可能性を完全にゼロと断言することはできませんので、重い金属アレルギーをお持ちの方は、事前に少量でお試しください。
そして、ここが弊社が引いている線です。
弊社は、この商品について「肌細胞を再生する」「幹細胞を活性化する」「若返る」といった説明を一切いたしません。
理由は3つあります。
1つ目は、事実ではないからです。ここまでお読みいただいたとおり、製品の中に生きた細胞は存在せず、化粧品が働きかけられる範囲は原則として角質層までです。
2つ目は、法律で禁じられているからです。日本において一般化粧品が広告やパッケージで謳える効能は、厚生労働省が通知した56項目に厳密に限定されています。
3つ目は、実演販売の現場で誠実さを失えば、二度と信頼は戻らないからです。
弊社がHORURUN極についてお伝えできるのは、肌を整えること、うるおいを与えること、そして肌にハリとツヤを与えることです。これは56項目の中に含まれる、正当な範囲です。
あわせて、顔のお手入れの道具として「LED Vリフトブラシ+」もご案内しています。
ブラシという名前ですが、フェイスアタッチメントに付け替えれば顔にお使いいただけます。赤色LEDに何ができて何ができないのかは赤色LEDは効果なしと言われる理由に、機器そのものの選び方は美顔器の種類と違いにまとめています。波長650nmの赤色LEDと三段階の振動を組み合わせた、一般家庭用の光美容機器です。なお、ここまでお伝えしてきた「角質層まで」という制限は化粧品についてのものです。光を当てる機器は化粧品とは別の区分になります。ただしこちらも医療機器ではなく、治療を行うものではありません。取扱説明書では、光は色によって役割が違い、赤色から近赤外線にあたる630nmから750nmの領域がコラーゲンの生成に関わると説明されており、本製品はその中の650nmを採用しています。
クリームで肌を整えることと、光を当てることは、目的が重なる部分があります。ただし両方を同時に行う必要はありません。どちらか続けやすいほうから始めていただくのが現実的です。
なお、初めてお使いになる際は必ずパッチテストをしてください。腕の内側を水で濡らし、光と振動の両方をオンにして約1分間動かしたうえで、24時間以内に赤みやほてりが出ないことを確認してからお使いください。美容医療の施術を受けられた後2週間は、その部位への使用をお控えください。
塗るタイミングについても、根拠に基づいてお伝えしています。塗る量や順番まで含めた使い方は、HORURUN極の使い方とタイミングにまとめました。夜(入浴後)、朝、日中の3つのタイミングをおすすめしていますが、最も大切なのは入浴後です。入浴後の肌の水分量は10分を超えると急降下し、入浴前より乾いた状態に向かうという研究があるためです。塗る方向は、重力に逆らう向きと、体の巡りの通り道を意識してください。
化粧品が言えることと、言ってはいけないこと
消費者として自衛していただくために、法律上の線引きを共有しておきます。
化粧品は「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」と定義されています。この枠を超えることはできません。
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使ってよい表現(56項目の範囲内) |
使ってはいけない表現 |
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肌を整える |
肌細胞を再生する |
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皮膚にうるおいを与える |
幹細胞を活性化する |
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肌にはりを与える |
肌の若返り/10年前の肌に |
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肌にツヤを与える |
ターンオーバーを促進する |
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肌を健やかに保つ |
シワを消す/シミを根本から治す |
「ターンオーバーを整える」は使えますが、「促進する」は使えません。体の機能そのものを変化させる表現になるからです。この違いは、消費者にはほとんど分かりませんが、法律上は明確に区別されています。
実際、近年は行政の監視が厳しくなっています。「若返り」効果を暗示する表示を行ったサプリメントが薬機法違反を指摘された事例(2024年11月)、誇大広告と不適切な契約条件表示により美容液を扱う事業者に3か月の業務停止命令が下された事例(2024年11月)、エステサロン運営事業者3社への措置命令(2026年3月)などが報告されています。大手企業であっても例外ではなく、ロート製薬に対しても表示に関する措置命令が行われています(2025年3月)。
さらに、業界団体である日本化粧品工業連合会は、化粧品広告における「細胞」という言葉の使用ルールを段階的に厳格化しています。
ですから、「幹細胞」という言葉が使われている場合、それは配合成分の由来を示す範囲に留めるべきであって、成分が直接肌の細胞に働きかけるかのような表記は、不当表示にあたります。
商品を選ぶ際は、この線を越えた表現をしていないかどうかを、1つの判断材料にしていただければと思います。
数字で見る、この市場の現在地
参考までに、市場の規模もお伝えします。
国内の化粧品市場は伸びています。矢野経済研究所の調査では、2023年度のメーカー出荷金額ベースの市場規模が2兆4,780億円。このうちスキンケアが最大のシェアで、約46.3%にあたる約1兆1,950億円を占めています。集計の範囲が広い富士経済の調査では3兆2,246億円という数字も出ていますが、この2つは何を市場と数えるかが違うため、直接は比べられません。
そして幹細胞コスメの市場規模は、2023年時点で日本国内でおよそ100億円に到達したと推計されています。世界市場では、2027年までに約10億ドル、日本円でおよそ1,500億円へと成長するとの予測も出ています。
急速に伸びている分野です。だからこそ、玉石混交にもなります。市場が成熟し、消費者の見る目が育つにつれて、単に幹細胞由来成分が微量入っているだけの製品は淘汰されていくと予測されています。
この背景には、美容クリニックを受診するハードルが下がったことや、医師がSNSなどで積極的に情報を発信するようになったことがあります。再生医療の考え方を取り入れた「予防美容」という概念が、一般の消費者に急速に浸透しました。医療機関でのみ販売される、いわゆるドクターズコスメの市場規模も、2022年時点で617億円へと成長しています。
言い換えれば、消費者の知識水準そのものが上がっているということです。曖昧な言葉で押し切る売り方は、これから通用しなくなります。だからこそ弊社は、分かっていることと分かっていないことを、どちらも隠さずお伝えする方針を取っています。
現場で伺ってきた、幹細胞コスメへのお声
実演販売の会場では、「幹細胞コスメって、結局何なんですか」というご質問をよく頂きます。
あるお客様は、「幹細胞が肌の中で増えて、肌を作り直してくれると聞いた」とおっしゃっていました。どこで聞かれたのかは分かりませんが、実際にはそういうことは起こりません。仕組みをご説明したところ、「じゃあ買う意味がないのね」とおっしゃったので、そうではないこともお伝えしました。植物が過酷な環境で生き抜くために作った成分を使っているのであって、抗酸化という点では確かな裏付けがあります。ただ、期待する内容を正しく持っていただかないと、後でがっかりされることになります。
また別のお客様は、「高いほど効くと思って買ったが、何も感じなかった」とおっしゃっていました。詳しく伺うと、朝の忙しい時間に慌てて塗り、夜は疲れて塗らない日もあったとのことでした。成分の議論以前に、使う頻度とタイミングのほうが結果を左右することがあります。研究で「入浴直後と翌朝」の2回が有効だと示されているのは、この2つが肌の水分量にとって効きやすい時間帯だからです。弊社が日中を加えているのは、乾きを感じたときに足していただくためで、3回目は義務ではありません。
弊社が現場で最も気をつけているのは、期待値を正しくお渡しすることです。過大に期待させて売ることは、その場では簡単ですが、次にお会いすることはできなくなります。
よくある質問
- リンゴ幹細胞コスメに、生きた幹細胞は入っていますか?
- 入っていません。培養した細胞は1,200バールという超高圧で細胞壁も細胞膜も完全に粉砕されており、最終製品に生きた細胞は一切存在しません。配合されているのは、細胞が作り出していた成分の抽出エキスです。
- では、効果はないということですか?
- そうではありません。抽出エキスには豊富なアミノ酸、ペプチド、抗酸化物質が含まれており、試験管の中での研究では紫外線ダメージからの保護や、老化に関わる遺伝子の働きの正常化が確認されています。ただし、肌の細胞を再生させたり若返らせたりするものではありません。
- 抗シワ効果の臨床試験があると聞きましたが
- 37歳から64歳の女性20名を対象に、28日後にシワの深さが15%減少したという報告があります。ただしこの試験は被験者20名と小規模で、有効成分を含まない基剤と比較する対照群が設定されていません。クリームそのものの保湿効果と切り分けることができないため、この数字だけで判断するのは適切ではないと考えています。
- ヒト由来の幹細胞培養液とは、何が違いますか?
- 仕組みがまったく異なります。ヒト由来のものは成長因子を含み、ヒトの細胞の受容体に鍵のように結合して直接信号を伝えます。植物由来にはこの仕組みがありません。その代わり、ウイルス感染のリスクが皆無で、安定した生産が可能という利点があります。
- HORURUN極には、何が入っているのですか?
- ラジウム鉱石末、金、そしてリンゴ果実培養細胞エキスの3つを軸に処方されています。弊社がお伝えできるのは、肌を整えること、うるおいを与えること、肌にハリとツヤを与えることまでです。細胞に働きかけるといった説明はいたしません。
- HORURUN極は、いつ、どう塗るのが良いですか?
- 夜(入浴後)、朝、日中の3つのタイミングをおすすめしていますが、最も大切なのは入浴後です。入浴後10分を過ぎると肌の水分量が急降下するという研究があるためです。塗る方向は、重力に逆らう向きと、体の巡りの通り道を意識してください。
- 金属アレルギーがあるのですが、使えますか?
- 化粧品に使われる金コロイドは純度の高い24Kで、不純物が排除されており、アレルギーのリスクは非常に少ないとされています。ただし可能性を完全に否定することはできませんので、重い金属アレルギーをお持ちの方は、事前に少量でお試しいただくことをおすすめします。
- 「幹細胞を活性化する」と書いてある商品は、信用していいですか?
- その表現は、薬機法上使ってはいけないものです。化粧品が働きかけられる範囲は原則として角質層までであり、基底層にある生きた細胞や幹細胞への直接的な作用を謳うことは禁じられています。商品選びの1つの判断材料にしていただければと思います。
まとめ:正しく期待するために、正しく知る
リンゴ幹細胞、正式にはリンゴ果実培養細胞エキスは、現存する成木が20本程度と伝えられる希少なリンゴを、木を伐らずに培養して化粧品に応用したものです。画期的なのは、この製造の考え方のほうです。効果そのものについては、この記事で見てきたとおり、大規模な追試はまだ足りていません。
試験管の中での研究では、紫外線ダメージからの保護や、老化に関わる遺伝子の働きの正常化が確認されています。抗酸化という点で、肌の環境を守る成分としての実力は十分にあります。
しかし同時に、次のことも事実です。
製品の中に生きた幹細胞は存在しません。ヒト由来の培養液のような、細胞へ直接信号を送る仕組みも持っていません。そして肌への効果を示した臨床試験は、被験者20名でプラセボ対照が設定されておらず、2008年頃の単一の試験に依存し続けています。
この両面を知ったうえで選んでいただくことが、結局は満足につながると弊社は考えています。
弊社では、リンゴ果実培養細胞エキスに金とラジウム鉱石末を組み合わせたクリーム「HORURUN極」と、フェイスアタッチメントに付け替えて顔に使える「LED Vリフトブラシ+」をご用意しています。細胞を再生させるとも、若返るとも申し上げません。肌を整え、うるおいを与え、ハリとツヤを与える。化粧品として言える範囲を正直にお伝えしたうえで、日々の習慣に組み込んでいただくことをご提案しています。
幹細胞コスメ選びで迷っていらっしゃる方は、ぜひ一度ご相談ください。
33年間、実演販売の現場でお客様と直接向き合ってきた弊社が、期待値を正しくお渡ししたうえでご提案いたします。

