【股関節の痛みと歩き方】歩くべきか、休むべきか?33年の実演販売士が教える、サポート用品の正しい使い方と落とし穴
最近、階段の上り下りで股関節がズキッとする。
歩き始めに、脚の付け根が重い。
そういえば、片方の脚だけ痛みを感じることが増えてきた。
「このまま歩き続けて悪化しないだろうか」「でも、動かさなすぎるのも良くない気がする」——そんな相反する不安を抱えながら検索されている方も多いのではないでしょうか。
実演販売の現場で33年、健康・美容雑貨をご紹介してきた弊社の松下も、会場でこの手の質問を本当によく受けてきました。「歩いた方がいいのか休んだ方がいいのか、誰に聞いても答えが違う」「サポーターって結局怪しいの?」という、正反対の情報に振り回されて困っている方の声です。
この疑問には、実ははっきりとした答えがあります。痛みの種類によって「歩くべき」場合と「休むべき」場合が分かれており、歩行をサポートする用品にも正しい使い方と、知っておくべき注意点の両方が存在するのです。
結論:股関節の痛みは「痛みの種類」で、歩く・休むを判断します
結論からお伝えします。
股関節の痛みへの対応は、「鋭く刺すような痛み」か「鈍い痛みやこわばり」かで、真逆の対応が必要になります。鋭い痛みや夜間にもズキズキする痛みがある場合は、無理に歩かず安静を優先すべきサインです。一方、動き始めだけ痛む、重だるい、こわばる、といった痛みであれば、痛みの出ない範囲で歩いたり動かしたりする方が、かえって回復を助けます。
なお、本記事は情報提供を目的としたものであり、症状の診断や治療を行うものではありません。強い痛みが続く場合や、急に悪化した場合は、早めに整形外科にご相談ください。
【徹底比較】「歩いてよい痛み」と「休むべき痛み」の見分け方
自己判断で無理をしてしまう前に、下の表でご自身の痛みのタイプを確認してみてください。
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痛みの特徴 |
考えられる状態 |
推奨される対応 |
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鋭い痛み、ズキズキする痛み、安静時や夜間にも痛む |
関節の炎症が強い状態、または急激な変化のサイン |
歩行を控え、杖なども使って負担を減らす。数日で軽減しなければ受診を検討 |
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動き始めだけ痛い、重だるい |
軟骨の慢性的な負担、筋肉の疲労 |
痛みの出ない範囲で歩行や運動を継続する方がよい |
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朝のこわばり、関節が固まった感じ |
関節まわりの硬さ、動きの滞り |
ゆっくり動かして関節液の巡りを促す方がよい |
鋭い痛みと鈍い痛みでは、体が発しているサインの意味がまったく違います。この違いを知らずに「痛いから全部安静」あるいは「痛くても気合いで歩く」のどちらか一方に偏ってしまうと、かえって股関節の負担を大きくしてしまうことがあるのです。
なぜ60代以降、女性に股関節の痛みが増えるのか
「なぜ自分だけ」「なぜ女性ばかり」と感じている方も多いかもしれません。実はこれには、生まれつきの骨格の特徴と、年齢を重ねる中でのホルモンの変化という、2つのはっきりとした理由があります。
生まれつきの「受け皿の浅さ」が関係しています
股関節は、骨盤側の受け皿(臼蓋)に、太ももの骨の先端(大腿骨頭)がすっぽりとはまり込む構造をしています。この受け皿の被りが生まれつき浅い状態を「臼蓋形成不全」と呼びます。
日本人を対象にした大規模な調査によると、この受け皿の浅さを持つ方の割合は、男性が約11.8%であるのに対し、女性は約15.1%と、統計的にも女性の方が多いことが分かっています。日本人の股関節の痛みの多くは、この受け皿の浅さが土台にある「二次性」のものだとされており、その大部分を女性が占めているのです。
受け皿が浅いと、体重を支える面積が狭くなり、軟骨の同じ部分に負担が集中しやすくなります。若いうちは軟骨の弾力でカバーできていても、年齢とともにその余力が少しずつ失われ、40代から50代にかけて負担が表面化しやすくなる、という流れです。
そもそも女性の骨盤は、出産に対応できるよう男性よりも横幅が広く作られています。この骨盤の広さは、太ももの骨が骨盤に接続する角度を大きくし、歩くたびに股関節の外側へねじれの力がかかりやすくなる、という側面も持っています。妊娠・出産期に骨盤まわりの靭帯をゆるめるホルモンが分泌されることも、長い目で見ると骨盤の安定性にわずかな影響を残すことがあると言われています。女性の体は、出産という大きな役割を果たすために骨盤を柔軟にしている一方で、その柔軟さが股関節への負担につながりやすいという、なんとも言えない側面を持っているのです。
急激に進行するタイプの股関節症にも注意が必要です
数年かけてゆっくり進む一般的な股関節の変化とは別に、ごくまれに、わずか半年から1年ほどという短期間で急激に軟骨や骨が傷んでしまうタイプの股関節症が存在することも知っておいていただきたい点です。この急速に進行するタイプは、65歳以上の女性に集中して起こることが分かっており、初期にはレントゲンで目立った異常が見つからないにもかかわらず、歩くだけで強い痛みを感じたり、じっとしていても痛みが治まらなかったりするのが特徴です。
「今までの痛みと明らかに違う」「短期間で急に悪化した」と感じる場合は、通常の股関節の痛みとは区別して考える必要があります。自己判断で湿布や安静だけで様子を見続けるのではなく、早めに整形外科でレントゲンやMRIによる検査を受けることを強くおすすめします。
閉経後、軟骨がもろくなりやすい理由
もうひとつの理由が、女性ホルモンの変化です。女性ホルモンには、関節の軟骨を作る働きを助け、関節内の炎症を抑える役割があることが分かっています。
閉経を迎えてこのホルモンの分泌が急激に減ると、骨の密度が下がりやすくなると同時に、軟骨の代謝そのものが乱れやすくなります。これが、60代以降に股関節の痛みが増える、もうひとつの大きな理由です。
なお、通常は何年もかけてゆっくり進行する股関節の変化が、まれに数か月という短期間で急激に進むケースも報告されており、その大半が65歳以上の女性に集中していることも分かっています。急に強い痛みが出た、あるいは今までとは違う激しい痛みを感じるという場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに整形外科を受診することが大切です。
一歩ごとに、股関節には想像以上の負担がかかっています
「たかが歩くだけ」と思われるかもしれませんが、実は歩行中の股関節には、想像をはるかに超える負担がかかっています。
片足で体重を支える瞬間、股関節にはただ体重がそのままかかるわけではありません。体の重心から股関節までの距離は、股関節からお尻の外側の筋肉(中殿筋)の付け根までの距離のおよそ3倍あります。このため、骨盤を水平に保つためには、中殿筋が体重の2倍から3倍ほどの力で踏ん張る必要があり、この筋肉の働きと体重が合わさることで、股関節にかかる負担は一気に膨れ上がる仕組みになっています。
動作ごとに、股関節へかかる負担がどれほど変わるかを見てみましょう。
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動作 |
股関節への負担(体重に対する倍率) |
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両足で立っている状態 |
約1.0倍 |
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ゆっくりとした歩行 |
約1.6〜4.1倍 |
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通常の歩行 |
約2.1〜4.5倍 |
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階段の上り下り |
約1.5〜5.5倍 |
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つまずいた瞬間 |
8倍以上 |
体重60kgの方であれば、通常の歩行だけでも一歩踏み出すたびに120kgから270kgほどの負担が瞬間的にかかっている計算になります。つまずいた瞬間には480kgを超える負担が一瞬にしてかかることもあり、日常のふとした瞬間が股関節にとって大きな負担になり得ることが分かります。
「揺れる歩き方」が教えてくれるサイン
股関節の負担が大きくなると、体は無意識のうちに、その負担を減らそうとする歩き方に変化していきます。
痛む方の脚で体重を支えたとき、骨盤が反対側に傾いて揺れる歩き方になることがあります。これは、骨盤を支える中殿筋の働きが弱くなっているサインです。また、上半身を痛む方へ大きく倒すようにして歩く方もいらっしゃいます。これは、体の重心を股関節の真上に近づけることで、中殿筋の負担を無意識に減らそうとする体の知恵なのですが、見た目には「大きく揺れる歩き方」として表れます。
ご家族から「最近、歩き方が変わったね」と指摘されたことがある方は、体がすでに負担を減らすための工夫を始めているサインかもしれません。
かばう歩き方が招く、負の連鎖
この「揺れる歩き方」は、股関節そのものの負担を一時的に減らす一方で、体の他の部分に新たな負担を生み出してしまいます。
上半身を左右に揺らすことで、腰には偏った力が繰り返しかかるようになり、腰痛や、背骨の通り道が狭くなることによる症状につながることがあります。股関節と腰は、まったく別の部位のように思われがちですが、実際にはひとつの連動したシステムとして働いており、股関節の不具合が腰の不調を招き、腰の不調がさらに歩き方を悪化させるという関係にあります。また、骨盤の傾きは脚全体のバランスを崩し、同じ側の膝への負担を増やすことにもつながります。さらに見過ごされがちなのが、痛む方の脚をかばい続けることで、今度は反対側の健康な股関節への負担が増え、数年後にはそちらにも痛みが出てくるケースがあるという点です。
つまり、ひとつの股関節の痛みを放置することは、その関節だけの問題では終わらない可能性がある、ということです。だからこそ、負担を分散させる歩き方や、適切なサポートを早い段階から取り入れることに意味があります。
さらに、股関節がスムーズに動くためには、関節の中を満たす関節液の巡りも欠かせません。関節の軟骨には血管が通っていないため、動くたびに関節液が押し出されたり吸い込まれたりすることで、初めて栄養や酸素が行き渡ります。つまり、痛みを避けようとして動かなさすぎると、この巡りそのものが滞り、かえって軟骨の状態を悪くしてしまうことがあるのです。「痛いから動かさない」と「痛みの範囲内で動かし続ける」は、似ているようでまったく違う対応だということを、ぜひ知っておいてください。
なぜ33年の実演販売士は「歩行サポート用品」にもこだわるのか
ここまでお伝えしてきた「揺れる歩き方」や「かばう歩き方」を、根性や気合いだけで正すのは簡単ではありません。だからこそ弊社では、正しい知識と合わせて、日常の動作を無理なく支える道具もご案内しています。
歩行をサポートする用品には、大きく分けて「固定して動きを制限するタイプ」と「圧迫して感覚を助けるタイプ」の2種類があります。硬いベルトなどで関節を強く固定するタイプは、関節の動きそのものを制限することで安定させますが、日常的に使い続けると、本来働くべき筋肉が「支えてもらうこと」に慣れてしまい、かえって力を発揮しにくくなることがあります。
一方、伸縮性のある生地で脚や骨盤まわりを穏やかに圧迫するタイプは、関節の動きを制限する力はほとんどありません。その代わり、肌への圧迫刺激が、関節が今どんな状態にあるかを脳に伝える感覚(固有受容感覚)を高め、無意識のうちに歩行時の姿勢バランスを整えやすくすることが分かっています。「軽く着けているだけなのに、なんだか歩きやすい」と感じるのは、気のせいではなく、こうした感覚の働きによるものなのです。
2つのタイプの違いを整理すると、以下のようになります。
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項目 |
固定式サポーター(ベルトタイプ) |
着圧スパッツ(レギンスタイプ) |
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仕組み |
関節の動きを物理的に制限して安定させる |
皮膚への圧迫刺激で感覚を助け、無意識の安定性を高める |
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向いている場面 |
急に強い痛みが出た時など、限定的な場面 |
日常の歩行・家事など、動作を伴う場面全般 |
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長期間の使用 |
筋力低下につながる可能性がある |
関節の動きを妨げないため、比較的取り入れやすい |
弊社の「ウォーキングスパッツ(股関節アシストガードル)」は、この圧迫による感覚サポートを軸にした設計です。加圧設計で脚・股関節・骨盤底筋まわりにアプローチし、着るだけで日常の動作を支えます。関節を強く固定するタイプとは違い、日常の歩行や家事の動作を妨げないため、高齢の方の室内での運動代わりとしてもご案内しています。
ただし、サポート用品には知っておくべき注意点もあります。骨盤まわりを強く締めすぎるベルトタイプの製品では、太ももの外側の感覚を司る神経が圧迫され、太ももの外側にピリピリとした痺れや、ヒリヒリとした痛みが出ることがあります。これは股関節そのものの痛みと勘違いされやすく、「もっと強く締めないと」とさらに締め付けを強めてしまう方も少なくありません。太ももの外側に違和感が出た場合は、すぐに締め付けを緩めることが大切です。
弊社では、ウエストや脚の付け根に指が2本ほど入る程度の、心地よい圧迫感を基準にすることをおすすめしています。また、使うタイミングは歩行や家事など体を動かしているときに限り、就寝時や座りっぱなしの時間帯には使わないようにお伝えしています。動きの少ない時間帯に圧迫が続くと、血の巡りが滞りやすくなるためです。
なお、歩行時の着地の衝撃をやわらげる工夫として、足裏のアーチを支えるインソール(中敷き)を併用される方もいらっしゃいます。弊社の「テラインソール」は、柔らかすぎず適度な反発力を持たせた設計で、足裏から伝わる衝撃をやわらげる工夫をしています。柔らかすぎるクッション性の高い中敷きは、一見足に優しいように思われがちですが、足裏のアーチを支えきれず、かえって歩行が不安定になることがあります。ウォーキングスパッツと組み合わせることで、上と下の両方から歩行時の負担にアプローチできます。
サイズ選びも、サポート用品の効果を左右する大切なポイントです。大きすぎるとずれて圧迫が偏り、小さすぎると必要以上に締め付けてしまいます。迷った場合は、普段のサイズよりワンサイズ上を選ぶと、締め付けすぎを防ぎやすくなります。
サポート用品はあくまで、正しい歩き方や筋力トレーニングを続けやすくするための「補助」です。着けているから安心、ではなく、活動量を保ちながら次にお伝えする歩き方や運動を並行して行うことが、股関節と長く付き合うための一番の近道になります。
股関節に負担をかけない歩き方の3つの鉄則
国内外の診療ガイドラインでも、股関節に負担の少ない歩き方や運動を続けることは、保存療法の中でもっとも推奨度が高い対応のひとつとされています。特別な道具がなくても、日々の歩き方を少し意識するだけで、股関節への負担は変えられます。
1つ目は、骨盤を立てて歩くことです。反り腰の姿勢は、股関節の前側に強い負担をかけます。下腹部に軽く力を入れ、骨盤を床に対してまっすぐ立てる意識を持つだけで、股関節にかかる圧力が分散されやすくなります。
2つ目は、歩幅を少し小さくすることです。大股で歩くことは一般的に良いとされがちですが、股関節に痛みがある方にとっては逆効果になることがあります。脚を大きく後ろに残す動作は、股関節を過度に伸ばす形になり、関節の前側に強い圧迫がかかるためです。歩幅をやや小さくし、その分、一歩一歩のリズムを少し速めることで、関節への最大負担を減らすことができます。
3つ目は、かかとからやさしく着地することです。かかとで強く床を叩くように着地すると、その衝撃がそのまま股関節に伝わってしまいます。膝を軽く曲げた状態で、かかとから足裏全体へなめらかに体重を移していく着地を意識してみてください。杖をお使いの場合は、痛む方の脚と反対側の手に持つことで、体重を分散させ、股関節への負担を大きく減らすことができます。
自宅でできる、股関節を守るセルフトレーニング
歩き方の工夫と合わせて、股関節を支える筋肉そのものを育てておくことも大切です。
中殿筋トレーニング(横向き足上げ)は、痛くない方を下にして横向きに寝て、上側の脚をまっすぐ伸ばしたまま、かかとから斜め後ろ上方へゆっくり持ち上げ、数秒キープしてからゆっくり下ろす、という動きです。10回から15回を、2セットから3セットほど行います。横向きで行うことで体重の負担をかけずに筋肉だけを鍛えられるため、痛みがある方でも比較的安全に取り組みやすいトレーニングです。
腸腰筋の等尺性収縮は、仰向けに寝て両膝を立て、片方の膝を胸に近づけるように持ち上げながら、同時に両手でその膝を押し返し、脚と手で軽く力比べをする状態を5秒から10秒キープする、という動きです。関節そのものを動かさずに行うため、軟骨への負担をかけずに筋肉へ働きかけられます。腸腰筋は、脚を前へ振り出すときに働く筋肉で、この筋肉の働きが弱くなると、歩幅が狭くなったり、つま先が引っかかりやすくなったりします。
椅子に座ったままできるトレーニングとして、片脚をゆっくり持ち上げて数秒キープし、下ろすという動きを繰り返す方法もあります。立って行うトレーニングに不安がある方や、痛みが強く出ている時期でも取り組みやすい方法です。
このほか、体重管理も股関節の負担を減らすうえで大きな意味を持ちます。先ほどお伝えした通り、股関節には体重の数倍もの負担がかかるため、体重を5%ほど減らすだけでも、歩行時の負担は目に見えて軽くなります。陸上での運動がつらい場合は、水の浮力を利用できる水中ウォーキングも、股関節への負担を大きく抑えながら体を動かせる方法としておすすめです。水中では浮力によって体重の負担が大幅に軽くなるため、痛みを気にせず脚を動かせるという利点があります。
これらのトレーニングは、痛みが強いときに無理をして行う必要はありません。鋭い痛みがあるときは中断し、鈍い痛みやこわばりの範囲で、少しずつ続けることを意識してください。
現場で見えてきた、股関節と付き合う方たちの共通点
長年、全国各地の会場でお客様のお話を伺ってきて感じるのは、股関節の痛みとの付き合い方には、その方の性格や経験が色濃く表れるということです。
「痛いのに我慢して歩き続けていた」という60代の女性にお会いしたことがあります。よくよく伺うと、「動かさないと余計に悪くなる気がして」という思いから、鋭い痛みがあるときも無理をして歩いていらっしゃいました。痛みの種類によって対応を変える必要があるとお伝えしたところ、「そんな区別があるとは知らなかった」と驚かれていました。
逆に、「怖くてほとんど歩けなくなった」という70代の女性からご相談を受けたこともあります。動かさない期間が長くなるほど、関節まわりの筋肉が弱くなり、かえって歩くこと自体が不安になるという悪循環に陥りやすいものです。少しずつ、痛みのない範囲で歩く距離を伸ばしていただいたところ、「思ったより歩けることに気づいた」と、表情が明るくなられたのが印象的でした。
離れて暮らすご家族が、代わりに相談にいらっしゃることも少なくありません。「実家の母が最近、歩くとき片方に傾いているように見える」というご相談を受け、揺れる歩き方の背景にある筋力の話をお伝えしたところ、「本人は気づいていないと思うので、それとなく伝えてみます」とおっしゃっていたのが印象的でした。ご本人が自覚しにくい変化だからこそ、周りが気づいてあげることの大切さを、こうした場面で感じています。
また、「サポーターをつけたら筋肉が衰えるのでは」と心配される方にもよくお会いします。歩行時など、体を動かすときだけ使う分には心配のいらないものだとお伝えすると、安心して取り入れてくださる方が多い印象です。
印象に残っているのは、骨盤ベルトをきつく締めすぎて、太ももの外側に痺れが出てしまっていた80代の女性です。「股関節がさらに悪くなったのかと思って、余計に強く締めていた」とおっしゃっていましたが、締め付けを緩めていただいたところ、数日で痺れが治まりました。良かれと思って行っていることが、実は逆効果になっているケースは、決して珍しくありません。だからこそ、正しい知識をお伝えすることが、私たちの大切な役目だと感じています。
よくある質問
Q. 股関節が痛い時は歩いた方がいいですか?
痛みの種類によります。鋭く刺すような痛みや、安静時にもズキズキする痛みがある場合は、無理に歩かず休むことを優先してください。動き始めだけの痛みや重だるさであれば、痛みの出ない範囲で歩く方が、かえって回復を助けます。
Q. 股関節が痛すぎて歩けないときはどうすればいいですか?
無理に歩こうとせず、まずは安静にして負担を減らしてください。杖や手すりを使って移動する、座って過ごす時間を増やすなど、股関節への荷重そのものを減らすことが優先です。数日安静にしても改善しない場合や、痛みが強まる場合は、早めに整形外科を受診してください。
Q. 股関節が痛い時のサポーターは、どんなものを選べばいいですか?
日常の歩行や動作をサポートしたい場合は、関節の動きを制限しない、圧迫による着圧タイプが取り入れやすくおすすめです。硬く固定するタイプは、急性期の強い痛みがある場合など、必要な場面に限って使うのが望ましいとされています。
Q. 股関節サポーターのデメリットはありますか?
締め付けが強すぎると、太ももの外側の感覚を司る神経が圧迫され、痺れや痛みが出ることがあります。また、関節を強く固定するタイプを長期間使い続けると、本来働くべき筋肉の力が発揮されにくくなることもあります。指が2本ほど入る程度の心地よい圧迫感を目安にし、体を動かしているときだけ使うことが大切です。
Q. ウォーキングスパッツは毎日つけていいですか?
歩行や家事など、体を動かしている時間帯であれば、毎日お使いいただいて問題ありません。ただし、就寝時や座りっぱなしの時間帯は、血の巡りを妨げないよう、外しておくことをおすすめします。
Q. 片方の股関節だけ痛いのはなぜですか?
体重のかけ方や歩き方のクセが、左右どちらかに偏っていることが多い原因のひとつです。無意識に痛みをかばう歩き方を続けていると、その負担が特定の側に集中しやすくなります。
Q. 股関節の痛みで整形外科を受診する目安は?
痛みが2週間以上続く場合、安静にしていても痛みが引かない場合、あるいは急に強い痛みが出た場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに整形外科を受診することをおすすめします。
Q. サポーターと自分の筋力、どちらを優先すべきですか?
どちらか一方ではなく、両方を組み合わせることが大切です。サポーターは活動量を保つための補助として使いながら、中殿筋などのトレーニングを並行して行うことで、股関節を長持ちさせやすくなります。
Q. 家族の歩き方が最近おかしいと感じたら、どうすればいいですか?
ご本人は自覚しにくいことも多いため、周りの方が気づいてあげることが助けになります。「歩き方が変わった」「片方だけかばっているように見える」と感じたら、無理に指摘するのではなく、さりげなく整形外科の受診をすすめてみてください。
Q. 急に股関節が痛くなり、いつもと違う気がします。様子を見てもいいですか?
これまでと明らかに違う強い痛みが急に出た場合や、短期間で痛みが悪化している場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに整形外科を受診することをおすすめします。まれに、通常よりも早く進行するタイプの股関節の変化もあるため、レントゲンやMRIによる確認が安心につながります。
Q. 水中ウォーキングは股関節にいいのですか?
はい。水の中では浮力によって体重の負担が大きく軽くなるため、陸上での歩行がつらい方でも、股関節への負担を抑えながら体を動かせます。プールなどで気軽に取り入れやすい運動のひとつです。
Q. 体重を減らすと股関節の痛みは軽くなりますか?
股関節には歩くたびに体重の数倍の負担がかかるため、体重が軽くなればなるほど、その負担も比例して小さくなります。無理な食事制限ではなく、少しずつの体重管理を意識することが、股関節への負担を減らす助けになります。
まとめ:あなたの股関節の痛みは、正しく見極めれば、必要以上に怖がるものではありません
股関節の痛みは、「歩くべきか、休むべきか」を痛みの種類で正しく見極めることから始まります。
33年間、数えきれないほどのお客様の歩く姿を見てきました。だからこそお伝えできるのは、正しい知識さえあれば、股関節の痛みは決して一人で抱え込むものではないということです。
鋭い痛みがあるときは無理せず休み、鈍い痛みやこわばりであれば、痛みのない範囲で体を動かし続ける。そして、ウォーキングスパッツのようなサポート用品は、正しいタイミングと使い方を守りながら、歩き方の工夫や筋力トレーニングと組み合わせて活用する。この3つを意識するだけで、股関節との付き合い方は大きく変わります。
不安を抱えたまま過ごすよりも、正しい知識を知り、できることから少しずつ取り入れていただきたい。それが、現場で長年お客様と向き合ってきた私たちからの願いです。
商品選びなど、日々のセルフケアについてのご相談は、公式サイトよりお気軽にお問い合わせください。

